Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
七
茶道が、自分が正直に感じただけのものならば、東山時代の長い文化を通じて、あのように発達してくるはずがない。――また、秀吉だの家康だのという人物が、その道の隆盛を支持するわけがない。
柳生石舟斎も、老後をその道にかくれていた。思い出すと、沢庵坊もよく茶のことはいっていた。
――武蔵は、帛紗の上の茶碗へ、もいちど眼を落した。
七
石舟斎を思いだしながら、その茶碗をまえにおいて見つめていると、ふとまた武蔵は、あの時、石舟斎から贈られた一枝の芍薬を思いだした。
――白芍薬の花をではない、あの枝の切り口を。あの時うけた強い戦慄を。
(おやっ)
と、口に出たかと思うほど、武蔵は、その茶碗から心へひびいて来るなにものかに烈しく打たれた。
手を伸べて、抱きこむように、茶碗を膝へ乗せて見る。
(……?)
今までの武蔵とはまるで人が違ったような熱をおびた眼の光が、つぶさに、茶碗のそこや箆目に見いって、
(……石舟斎が切った芍薬の枝の切り口と、この茶碗の土を切ってある箆目のするどさと。……ウウム、どっちともいえない非凡人の芸の冴えだ)
肋骨が膨らむように息がつまってくる。――何ゆえにという説明は彼にもつかないのである。