Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
生死一路
一
「わしだぞ。立会人の小次郎なるぞ」
こう断りながら、大息を喘って、雲母越えの十町畷を魔のように駈け、下り松の辻までやがて来た。
跫音に、
「や、小次郎殿か」
四方に潜んでいた吉岡勢は、まったく痺れの切れたような顔をして、彼の周囲をすぐ真っ黒に取り囲んだ。
「まだ見えませぬかの、武蔵奴は――」
壬生の源左老人の問いに、
「いや、出会った」
と、小次郎は語尾を上げ、その言葉に衝かれ、さっと自分へあつまる視線のひらめきを冷たく見廻しつつ、
「出会ったが、武蔵の奴、どう思ったか、高野川から五、六町ほど連れ立って歩くうちに、不意に姿を消してしもうたのです」
いいも終らず、
「さては、逃げたなっ」
これは御池十郎左衛門だった。
「いや!」
と、その動揺めきを抑えて、小次郎はいいつづけるのだった。
「落着き澄ました彼の容子、また、わしにいった言葉のふしや、その他を考え合せてみるに、姿は消したが、どうも、あのまま逃げ去ったものとも考えられぬ。――思うに、この小次郎に知られては具合のわるい奇策を用いるため、わしを撒いたものと思われる。油断は決してなりませぬぞ」
「奇策。――奇策とは?」