Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

四

「又八、又八。用でもない人間と、なにをぶつぶついうているのじゃ。こよい限りでこの旅籠も立つのじゃないか、汝が身も少し手伝うて身仕舞でもしておかぬか」

四

なにかまだ話したそうな様子であったが、お杉に気がねして、朱実は、

「じゃあ又八さん、後でまた」

悄々と、立ち去った。

程なく――

ここの離屋には灯りが点る。

夜食の膳には、眺えた酒がつき、酌み交わしている母子の間へ、勘定書が盆に載っている。旅籠の手代だの、亭主だの、かわるがわる別れの挨拶に来て、

「いよいよ今夜のお立ちだそうでございますなあ。長いご逗留にも、なんのおかまいも申しあげませんで。……どうぞこれにお懲りなく、また京都へお越しの折にはぜひとも」

「はい、はい。またお世話になろうも知れませぬ。年暮から初春を越して、思わず三月越しになりましたのう」

「なんだかこう、お名残り惜しゅうございますな」

「ご亭主、お別れじゃ、一盞あげましょう」

「おそれいりまする。……ところでご隠居様、これからお故郷元へお帰りで?」

「いえいえ、まだ故郷へは何日帰れることやら」

「夜中に、お立ちだと伺いましたが、どうしてまたそんな時刻に」