Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
二
「なんじゃこの餓鬼は。まるで貸した物でも取りに来るように」
大きな暗い台所から、寺の婆やは呶鳴りかえした。
いっしょに洗い物を手伝っていた納所坊も、口をそろえて、
「お住持が、かあいそうじゃから遣れと仰っしゃるので、くれて遣るのじゃぞ。なんだ、大きな面して」
「おらの顔、大きいかい」
「物貰いは、あわれな声を出して来るものだ」
「おらは、物乞いじゃない。和尚さんに、遺物の巾着を預けてあるんだもの。――あの中にゃあ、おかねもはいっているんだぞ」
「野中の一軒家の、馬子のおやじが、どれ程なおかねを餓鬼に遺すものか」
「くれないのかい、粟を」
「だいいちおまえは阿呆だぞ」
「なぜさ」
「どこの馬の骨かわからない狂人牢人にこき使われて、あげくに、喰い物までおまえが漁って歩くなどとは」
「大きなお世話だい」
「田にも畑にもなりッこないあんな土地を掘くり返して、村の衆は皆わらってござるぞ」
「いいよウだ」
「おまえも少し、狂人にかぶれてきたな。あの牢人者はお伽草子の黄金の塚でもほん気にして、野たれ死にするまで、掘りちらしているだろうが、おまえはまだ鼻たれンぼのくせに、今から自分の墓穴を掘るのは早いじゃないか」