Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
十
これ以上の不孝はありますまい」
そういう小次郎の顔を、清十郎はじいっと見つめていた。眼ばたきをしない白い眼であった。
ふいに、がばっと、清十郎は起ち上がった。左の手に比べて、右の手は一尺も長いようにぶらんと他人の物みたいに彼の肩からぶら下がっていた。
「御池、御池」
「は……」
「斬れ」
「な、なにをですか」
「ばか、さっきからいっているではないか、わしの右手をだ」
「……でも」
「ええ、意気地のない……。植田っ、おまえやれ、はやくせい」
「ハ。……ハ」
すると、小次郎がいった。
「私でよければ」
「オ、たのむ」
小次郎は側へ寄った。清十郎のぶらんとしている手の先をつまんでぐっと上げ、同時に、前差の短い刀を抜いていた。なにかと怪しまれるような音が、どすっと周りの者の耳にひびいたと思うと、栓を抜いたような血しおとともに、腕は付け根から落ちていた。
十
体の重心を失いかけたように、清十郎は少しよろめいた。弟子達はそれを支えながら、傷口を抑え合った。
「歩く。おれは、歩いて帰るっ」
死人がものを叫んでいるような清十郎の顔つきであった。
弟子たちに囲まれたまま、彼は十歩ほどあるいた。