Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
六
「なにを渋っていやるのじゃ、おぬしはまだ本心からお通を斬る気になっておらぬの」
「……あれだって人間だ、猫の子を斬るような気持じゃ斬れない」
「無理もない……たといどのように不貞の女でも、元はおぬしの許嫁であったげな。……よいわ、ばばはここにいましょう、おぬし一人で行って見事にして来やれ」
又八は返辞もせず、腕ぐみをしたまま、ゆるい崖の道を降りて行った。
六
さっきからお通は、塵間塚のまえに佇んでお杉婆の来るのを待っていた。
(いっそ、こんな時に)
と逃げる隙を考えないでもなかったが、それでは二十日あまり怺えてきた忍苦がなんの意味もなさなくなってしまう。
(もう少しの辛抱)
お通は、武蔵を思い、城太郎のことを考え――そしてぼんやり星を見ていた。
武蔵を胸に描いていると、彼女の胸には無数の星が輝いた。
(今に。今に……)
夢みるように、将来の希望をかぞえてみる。また国境の山でいった彼のことばを――花田橋のたもとでいった彼の誓いを――胸のうちで繰返してみるのだった。
たとい年月が経っても、それを裏切る武蔵ではないことを、彼女はかたく信じていた。
――ただ朱実という女性を思いうかべると、ふと厭な気持がして、希望に暗いかげを映してくるが、それとても、武蔵に対する強固な信頼にくらべれば物の数でもない、不安というほどな憂いでも