Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
八
――斬れっ、誰か、わしの腕を斬れっ」
空へ眼をすえて、清十郎は喚きつづけていた。
八
あまり怪我人が痛がるので、戸板の四隅を持って歩いてゆく門人たちは――殊にそれが師とよぶ人であるだけに、思わず眼を反むけてしまう。
「御池殿、植田殿」
立ち淀みながら、その者たちは後ろを振向いて、先輩に計った。
「あのように苦しがって、腕を斬れと仰っしゃるんですから、いっそのこと、斬って上げたほうがお楽になるんじゃありませんか」
「ばかをいえ」
良平も、十郎左衛門も、一言のもとに叱りとばした。
「いくら痛んでも痛むだけなら生命に別条はないが、腕を切って出血が止まらなかったら、そのままになってしまうかも分らない。とにかく、早く道場へお連れして、武蔵の木剣が、どの程度に打ちこんでいるものか、若先生が打たれたという右の肩骨をよく調べた上、腕を斬るなら、血止めや手当の用意をよくととのえておいてからでなければ斬れん。――そうだ、誰か、先に駈けて行って、道場のほうへ、医者を呼んでおけ」
二、三名が、その支度に先へ駈け出して行った。
街道の方を見ると、並木の松の間々に、乳牛院の原の方から慕って来た群衆が、蛾のように並んで、こっちをながめている。