Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

四

自然の下には、武蔵も、じっと沈吟しているしかない。

「先生、もう行けるぜ」

伊織は太陽の下へ出て、今朝から呶鳴っている。

二十日ぶりで、二人は道具を担いで、耕地へ出て行った。

そしてそこに立つと、

「あっ……?」

と、ふたりとも茫然としてしまった。

二人が孜々として開拓しかけた面積などは、なんの跡形も残していない。大きな石ころと、一面の砂利であった。前にはなかった河が幾筋もできて小さな人力を嗤うが如く、奔々と、その大石や小石を弄んでいた。

――阿呆。狂人。

土民たちが嘲った声も思い出される。思い知ったのである。

手の下しようもなく、黙然と立っている武蔵を見上げて、伊織は、

「先生、ここはだめだ。こんな所は捨てて、もっと他のよい土地を探そう」

と、策を述べる。

武蔵はそれを容れない。

「いやこの水を、他へ引けば、ここは立派な畑になる。初めから地理を按じて、ここと決めてかかったからには――」

「でもまた、大雨が降ったら」

「こんどは、それが来ないように、この石で、あの丘から堤をつなぐ」

「たいへんだなあ」

「元よりここは道場だ。ここに麦の穂を見ぬうちは、尺地も退かぬぞ」