Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
四
「――だから、彼奴に、どんな振舞いがあっても仕方がないと仰っしゃるのですか。――それほど、あなたは、小次郎が怖ろしいのでござるかっ」
四
「そうだ。そういわれても仕方がない」
新蔵は、頷いて見せながら、
「わしの態度が、臆病者に見えるなら、臆病者といわれておこう」
――すると、地に呻いていた深傷の男が、彼と二人の友の足元から苦しげに訴えた。
「水を……水をくれい」
「お……もう」
二人が、左右から掻い抱いて、釣瓶の水を掬ってやりかけると、新蔵があわてて止めた。
「待て。水を遣っては、すぐこときれる」
二人がためらっている間に、負傷は首をのばして釣瓶にかぶりついた。そして水を一口吸うと、釣瓶のなかに顔を入れたまま、眼を落してしまった。
「…………」
朝の月に、梟が啼いた。
新蔵は、黙然と立ち去った。
家にはいると、彼はすぐ師の病室をそっと窺った。勘兵衛は昏々とふかい寝息の中にある。ほっと胸をなでて、彼は自分の居間へ退がった。
読みかけの軍書が机のうえに開いてある。書に親しむ間もない程、毎夜の看護である。そこへ坐って、自分の体に回ると、同時に夜ごとのつかれが一時に思い出された。