Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

二

「休もう。――おばばも牛の背から降りて、すこし、この草の上に体を横にしてはどうか」

武蔵は、牛の手綱を、樹につないで、お杉婆を抱いて下ろした。

二

「ア痛、ア痛」

お杉婆は顔をしかめ、武蔵の手を拒んで、草の上に俯ッ伏した。

皮膚は土色に、髪はそそけ立ち、このまま、ほっておけば絶え入りそうな重態にも見える。

「おばば、水は欲しゅうないか。……なんぞ、食べ物でも少し口へ入れてみる気はないか」

武蔵はしきりと案じて、その背を撫でてやりながら訊ねたが、強情な婆は、頑なに、首を横へ振って、水もいらぬ、食べ物もほしくないという。

「弱ったのう」

武蔵は途方に暮れ――

「ゆうべから、水一滴口に入れず、薬をやりたいとは思うが人家もなし……疲れてしまうばかりじゃないか。……おばば、せめて、わしの弁当を半分ほどでも食べてくれぬか」

「けがらわしい」

「なに。穢らわしいと」

「たとえ、野末に行き倒れて、烏や獣の餌食になろうとも、仇と狙うおぬし如き者から、飯などもろうて口に入れようか。馬鹿な――うるさいッ」

背を撫でている武蔵の手を、自分の背から振り退けて、婆はまた草の根にしがみついた。