Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
四
法皇は
文治二年の春の頃
建礼門院の大原の閑居
御覧ぜまほしゅうは
思し召されけれども
二月弥生のほどは
嵐烈しゅう余寒も未だ尽ず
峰の白雪消えかねて
大声張りあげて、平家琵琶の大原御幸を夢中で呶鳴りだした。――眼を固く閉じ、顔をしかめ、自分の声でつんぼになれとばかり喚いていたところなのであった。
四
幸いにそこへ、伝七郎らが駈けつけて来たので、犬は群れを崩して八方へ逃げてしまい、又八は見得もわすれて、
「助けてくれっ、縄を解いてくれっ――」
吉岡門人のうちには、彼の顔を見知っている者が二、三あった。
「おや、こいつは、よもぎの寮で見たことがある」
「お甲の亭主だ」
「亭主。――亭主はなかったはずだが」
「それは祇園藤次の手前だけで、ほんとはこの男がお甲に養われていたのだ」
とやかく取沙汰をし始めたが、かわいそうだ、解いてやれという伝七郎のことばに縄を解いて仔細を訊くと、ここにも又八のいいところはあって、ほんとのことは良心に恥じていわない。
吉岡の者と見たので、彼は自分の宿怨をちょうどよく思い出して、武蔵の名を引きあいに出し、自分と彼とは郷里も同じ作州であるが、彼は自分の許嫁を奪って走り、郷土の者に対して顔向けのならない泥を家名に塗られている――