Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
五
五
この数日があぶない――と医者がいってから四日目になる。その頃が最悪な容態だった。きのう辺りからはやや気分がよいらしく見える。
その清十郎は、今ぽやっと眸をひらいて、
(朝か? 夜か?)
と考えてみた。
枕元の有明行燈が消えなんとしていた。人はいなかった。次の間に誰やらの鼾声が聞える。看護づかれの人々が、帯を解かずにごろ寝していた。
(鶏が啼いている)
まだこの世に生きている身かと改めて思う。
(生き恥!)
清十郎は、夜具の襟で、顔をおおった。
泣いているように指の端が痙攣している。
(この先、どの面下げて)
こう思うのであろう、男泣きにしゅくっと、嗚咽をのむ。
父の拳法の名は、余りに世間へ大き過ぎていた。不肖な子は、父の名声と遺産を担って歩くだけで精いっぱいであったのみか、到頭、それあるがために、身をも家をも、ここへ来て敗ってしまった。
(終りだ、もう吉岡の家も)
ぼーっとひとりでに枕元の有明行燈が消える。部屋の中に、夜明けの光がほの白く映った。朝霜の白い蓮台寺野に立った時のことがまた思い出される――
あの時の、武蔵のまなざし!
今、思っても、毛穴がよだつ。