Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
「……そして」
「元のように」
「なんじゃあ? ……」
「――元のように仲をもどして、お通と夫婦になりたいんだ。おばば、お通はおれを今でも思っていてくれてるだろうか」
皆までいわせず、
「――ばッ、ばかっ」
お杉は、又八の横顔を、ぴしゃりと打った。
「アッ……な、なにをするんだ、おばば」
蹌めきながら又八は顔をかかえた。そして乳を離れてから今日まで見たことのない怖ろしい母の顔を彼は見た。
「たった今、おぬしはなんというたぞ。わしがいつかいうて聞かせた言葉は、胆に銘じているというたであろう」
「…………」
「いつ、このおばばが、お通のような不埒な女子へ、汝が身が手をついて謝れと教えたか。――本位田家の名に泥を塗って、あまっさえ、七生までの仇ぞと思うている武蔵と逃げた女子じゃぞよ」
「…………」
「許嫁であった汝が身を捨てて、汝が身とは、家名の仇の武蔵へ身をも心をもまかせている犬畜生のようなあのお通に、汝れは、手をついて謝る所存か。……謝る所存かよ! これっ――」
又八の襟がみを諸手につかんで、婆は振りうごかすのであった。
又八は、首をがくがく動かしながら、眼を閉じて、母の叱言を甘受していた。