Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

「そんなこといったってむりだ。おばば……おれはどうしても、お通と添いたい。――お通が好きなんだっ」

さすがに、青ざめている母の顔へ向ってはいえずに、又八は、空へ向いてうめいた。

お杉の尖っている肩のほねが鳴るようにふるえ出した、――と思うと、やにわに、

「又八、本性か」

と、いって、いきなり自分の脇差を抜いて喉へ突きたてようとした。

「あッ、おばばなにするっ――」

「ええもう、止めだてしやるな。それよりはなぜ、介錯するといわぬか」

「ば、ばかなことを。……おばばが死ぬのを、おれが……子が見ていられるか」

「では、お通をあきらめて、性根を持ち直してたもるか」

「じゃあ、おばばは一体、なんのために、お通をこんなところへ連れて来たのだ。おれにお通のすがたを見せびらかすのだ。――おれには、おばばのその肚がわからぬ」

「わしの手で殺すは易いことじゃが、元々、汝が身を裏切った不貞な女、汝が身の手で成敗させてやりたいと思う親ごころのそれも一つ、有難いとはなぜ思わぬか」

五

「それじゃあ、おばばは、おれの手でお通を斬れというのか」

「……嫌か!」

鬼のことばのようである。

又八は、自分の母の中に、こんな声を出す性質があったろうかと疑った。