Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

「そうさ、来る頃だ」

なにか緊迫してくるものを各が顔に湛え出した。自然とそれが人々を無口にさせた。誰の眼も一様に、そこから街端れの街道を眺めて、生唾を溜めて待ちしびれている様子に見える。

「どうなされたのだろう?」

のろまな声をして、どこかで牛が長く啼いた。ここは元、禁裏のお牛場で、乳牛院の跡とも呼ばれていた。今でも、野放しの牛がいるとみえ、陽が高くなると、枯れ草と糞のにおいが蒸れて来るのである。

「――もう武蔵は、蓮台寺野のほうへ来ていやしないか」

「来てるかもしれん」

「誰か、ちょっと、見て来ないか。――蓮台寺野とこことは、五町ほどの距離しかあるまい」

「武蔵の様子をか」

「そうだ」

「…………」

すぐ行こうといって出る者もない。煙の蔭にみな煤ったい顔をして沈黙した。

「――でも、若先生は、蓮台寺野へ出向かれる前に、ここでお支度をして行くという手筈になっているのだからな。もう少し、待ってみようじゃないか」

「それは、間違いのない手筈なのか」

「植田殿が、ゆうべ若先生から、確といい渡されたことだ。よも間違いはあるまい」

植田良平は、そういう同門の者のことばを裏書して、