Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
この中で、誰の声より大きいのが、この中で誰よりもいちばん痩せている灰屋紹由の声だった。
武蔵が、一、二献飲んだだけで後は辞退しているところから、紹由老人の――これは度々発表している持論らしい酒談義がはじまったのである。
いつ聞いても、それがいっこう「新説」でない蒸し返しである証拠には、席に侍している唐琴太夫も墨菊太夫も小菩薩太夫も、またほかの酌人や、物運びする女たちまでが、
(船ばし様が、また始まった)
といわないばかりに、皆同じ表情のものを唇に持って、くすぐッたそうに聞いている顔つきを見ても分るのである。
だが、船ばし様の紹由は、そんなことにはすこしも頓着なく、
「酒がわるいものなら、神様はお嫌いなはずだが、酒は悪魔よりも神様のほうがお好きじゃった。だから、酒ほど清浄なものはない。神代には、酒を造る時、純清の処女子たちの白珠のような歯で米を噛ませて酒を醸したという。それほど清らかなものだった」
「ホホホ、まあ、きたない」
誰か笑うと、
「なにが、きたないか」
「お米を歯で噛んだりして造ったお酒が、なんできれいなことがあるものですか」
「ばかをいえ。おまえ達の歯で噛みつぶしたら、それや汚いどころじゃない、誰も飲み人はありはせぬが、まだ、春も芽ばえのなんの穢れにもそまぬ、処女が噛むのじゃ。