Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

「――あ、雪」

と皆、知らなかったように呟いた。

「寒いはず……」

と光悦は、もう白く見える自分の息へ杯を含ませ、武蔵も、

「オオ」

と、眼をそこへ移した。

廂から外のふかい闇を、春にはめずらしい牡丹雪が、ぼとぼとと音を立てて降りしきっている。その黒繻子のような闇に光る雪の縞の中に、禿たちの姿が四つ、帯のうしろを見せて並んでいた。

「お退きなさい」

太夫が叱っても、

「うれしい」

と、禿たちはお客などを忘れて、不意に訪れた恋人のように、沁々、雪に見惚れていた。

「つもるかしら?」

「つもるでしょう」

「あしたの朝は、どんなかしら?」

「ひがし山が、真っ白になって――」

「東寺は」

「東寺の塔だって」

「金閣寺は」

「金閣寺も」

「鴉は」

「鴉も――」

「嘘ばかり!」

袂で打つまねをすると、ひとりの禿は、廊下から下へ転げた。

いつもなら、わっと泣き出して度々ある禿同士の喧嘩が始まったであろうに、思いがけなく、降りしきる雪を浴びたので、落ちた禿は、偶然な喜びでも拾ったように、起きあがると、もっと雪の身にあたる外へ出て行って、

大雪、小雪

法然さんは見えぬ

何してござろ

経誦んでおざった

雪食べておざった