Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

ポトポトと、その跡には血が黒く大地に吸われていた。

「……先生」

「……若先生」

門下の人々は、桶のように清十郎の身を囲んで立ち止まった。そして気遣わしげに、

「戸板で急いだほうが、はるかに、お楽であったろうに、小次郎めが、出洒張って、いらざる真似を」

と、彼の無責任な仕方を、ことばのうちに皆、憤っていた。

「あるく!」

一息つくと、清十郎はまた二十歩ほど歩いた。足が歩くのではない、意地が歩いてゆくのである。

しかし、その意力は、永くは持たなかった。およそ半町ほど行くと、ばたっと、門人達の手へ仆れてしまった。

「それ、はやく医者を」

狼狽した人々は、もう拒む力のない清十郎を、死体を扱うように担い合ってわらわら駈け去った。

それを、見送ってしまうと、小次郎は、並木の下にじっと立っている朱実のすがたを振りかえって、

「見ていたか、朱実。――おまえにすれば、いい気味だったろうが」と、いった。

朱実は、青ざめた面持ちをして、そういう小次郎の平気な笑い顔を、憎むかのように白い眼で見つめた。

「おまえがいつも、口ぐせのように、寝てもさめても呪っていた清十郎だ。さだめし、胸がすっと透いたろう。