Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

すでに父母はない。自分を容れない故山に、わびしい独りの姉があるばかりである。

彼は、しばらく沈湎と燈に俯向いていた。ここも、三日の仮の宿だった。

「さ、立とうか」

持ち馴れた刀を手に寄せ、固く締めた帯と肋骨のあいだへぎゅっと差し込むと、彼のふとした寂しさはもう強い意思の外へ弾き出されていた。その刀こそ父母であり妻であり兄弟であるとしよう――と、そうかねがね心に誓っていたところへ彼の心は返っていた。

「行くの。――お師匠さま」

城太郎は先にそこを出て、欣しそうに今夜の星を見た。

(これから烏丸様のお館まで行けば、ずいぶん遅くなるけれど、いくら夜が更けたって、お通さんはきっと、寝ずに待っているにちがいない。――どんなにびっくりするだろうな、きっと、あんまり欣しがって、また泣いちまうかも知れないぞ)

雪の晩からこっち、毎晩、空は美しかった。城太郎は、これから武蔵を連れて行って、お通に歓んでもらうことのみ空想していた。星を仰ぐと、その星のまたたきまでが、自分とともに、歓んでくれているように思える。

「城太郎、おまえは、裏木戸からはいって来たのか」

「え。裏だか表だか知らないけれど、さっきの女のひとと一緒に、そこの門から」