Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

生きる達人

一

老尼のすがたは、またすぐ見ることができた。一人ではない――ほかに二人の連れの者がいた。

その三人は一家族の者とみえ、北風を避けるために、ゆるい傾斜の蔭を選び、陽なたに毛氈を敷いて、そこへ茶の道具だの、水挿だのまた、釜などもかけ、青空と大地を茶室として、自然のながめを庭としながら、風流に遊んでいるのだった。

生きる達人

一

三人のうちの一人は下男で、もう一人はこの尼すがたの老母の息子らしかった。

息子といっても、もう四十七、八かとも見える人物で、京焼の殿人形をそのまま大きくしたような色の白さと、豊かな艶のいい肉体を、頬にも、腹にも、ゆったりと持っている男だった。

さっき、この老母が、

(光悦や――)

と呼んだことを思い合せてみると、この人の名は、光悦とよぶに違いない。

光悦といえば、今、京都の本阿弥の辻には、天下に聞えわたっている同じ名の人間が住んでいる。

加賀の大納言利家から二百石ぐらいの仕送りをうけているのだと人は羨んでよく噂にいう。町家に住んでいて、二百石の蔭扶持をもらっていれば、それだけでも豪勢なくらしができるであろうに、なお、その上にも徳川家康からは特別に目をかけられているし、公卿堂上へは出入りをするし、天下の諸侯もこの一町人の家の前では、なんとなく気が措けて、馬上から店を見下ろしては通り難いという