Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
それからねお師匠様、あの沢庵坊主ね、あいつ、とても意地わるだぜ。おいら癪にさわっちまった。お師匠様のことを、あんな者は抛ッとけばいいんだっていうのさ。そして、お師匠様のいるところをちゃんと知っているくせに、なかなか教えてくれなかったんだぜ」
武蔵の無口を知りぬいているので、いくら武蔵が黙然と聞いていても、城太郎は独りで勝手にお饒舌りを休めない。
やがて、烏丸家の下部門がそこに見えると、
「お師匠様あそこだよ」
指さして、ふいに立ち止まった武蔵の眼へ、教えるように、
「あの塀の上に、ぽっと明りが映してるだろ。あそこが北の屋で、ちょうど、お通さんが寝ている部屋があの辺なんだぜ。……あの灯りは、お通さんが起きて待っている灯りかも知れないね」
「…………」
「さ、お師匠様、はやくはいろう、今おいらが、門を叩いて門番さんを起すからね」
そこへ向って、駈け出そうとすると、武蔵は城太郎の手首をぐっと握って、
「まだ早い」
「どうしてさ、お師匠様」
「わしは、お館へははいらぬ。お通さんへは、おまえからようく言伝をしてもらいたい」
「え、なんだって。……じゃあお師匠様は、なにしにここまで来たのさ」