Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
九
「おまえを送って来たまでだ」
九
ひそかに万一の変化をおそれて、敏感になっていた童心に、そのおそれていた予感が、ふいに事実となって、大きく映って見えたのであろう。
城太郎は、途端に、
「いけない、いけない」
絶叫に近い声を出し、
「だめだよ、お師匠様。――来なくっちゃだめだよ!」
武蔵の腕を懸命に引ッぱって、もうすぐそこの門の内にいるお通の枕元まで、どうしても連れて行こうとする。
「躁ぐな」
武蔵は、夜気のうちにしんとしている烏丸家の邸内を憚って、
「まあ、よう聞け。わしのいうことを」
「聞かない聞かない! お師匠様はさっき、おいらと一緒に行くといったじゃないか」
「だから、ここまで、おまえと共に来たではないか」
「門の前までといやしないじゃないか。おいらはお通さんに会うことをいってたんだ。お師匠様が弟子に嘘を教えていいのかい」
「城太郎、そう猛らずに、まあわしの言葉を落ちついて聞けよ。この武蔵にはまた、近いうちに、生死の知れぬ日が迫っておるのだ」
「侍はいつも、朝に生れて夕べに死ぬる覚悟を勉強しているのだって、お師匠様は口癖にいってるじゃないか。それなら、そんなこと、今始まったことでもないだろ」