Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
所詮兵法修行のうちは、会うたとて、お互いの不為。多艱に克ち、忍苦を求め、自分を百難の谷そこへ捨ててみねば、その修行に光はついて来ないのだ。……なあ城太郎、お前もまた、その道を今に踏んで行かねば一人前の兵法者にはなれまいぞ」
「…………」
泣きじゃくっている城太郎の姿を見れば、武蔵はまた可憐しくもなって、その頭をふところへ抱き寄せ、
「いつ果てるか知れないのが兵法者の常、おまえも、わしが亡い後は、よい師を捜せよ。お通さんにも、このまま会わぬ方が、行く末になってみれば、あの人の倖せになり、武蔵の気持も、その時には、よく分ってくる筈だ。……おお、そこの塀の内に映している明りが、お通さんのいる部屋か。……お通さんも寂しかろ。さ、はやくおまえも戻って眠るがいい」
十
無茶はいうが、城太郎にも、武蔵の苦衷の半分ぐらいは、なんとなく分っているらしいのである。泣きじゃくりながらも、拗ねた背中を向けているのは、一頃よりは物の理解が少しついてきた証拠で、お通さんには可哀そうだし、お師匠様にはこれ以上の無理もいえないし――と立ち往生している童心の嗚咽が拗ねて見えるのだった。