Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

「夕方までは、たしかに、姿が見えたんですが……どうも部屋の様子が」

「いないのか」

「へい」

「阿呆どもが」

煮え湯を飲んだように亭主の顔は変った。客の部屋の閾際で揉手をしている時とは別人のように口汚く、

「逃げられてから騒いだとて、後の祭りじゃ。――あの娘の様子といい、初手から事情のあるのは知れきっている。――それを七日も八日も泊めてから、お前らは初めて一文なしと気がついたのであろが。――そんなことで、宿屋商売が立ってゆかれるか」

「相済みません。つい、処女な娘と思って――まったく一杯食ってしまったんで」

「帳場の立て替えや、旅籠代の倒れは仕方がないが、なにか、相宿のお客様の物でも紛失していないか、それを先に調べて来なさい。エエ忌々しいやつめ」

舌打ちして、亭主も戸外の闇へ、眼いろを研いだ。

五

夜半を待ちながら、母子はなんべんか銚子を代えた。

お杉は、自分だけ先に、飯茶碗をとって、

「又八、おぬしも、もう酒はよくはないか」

「これだけ」

と、手酌で酌いで――

「飯はたくさんだ」

「湯漬けでも食べておかぬと、体にわるいぞよ」

前の畑や、路地口を、雇人の提燈がしきりと出入りしていた。