Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

三

「光悦や、それでは、その御牢人様は、なにもわし達に危害を加えようとするお人ではありませぬか」

「害意どころか、あなた様が小笊の若菜を捨てておいでなさったので、この枯野からそれだけの青い物をさがして摘んだ年寄の丹精がいとしいと仰っしゃって、これへ持って来てくだされたほど、若い武人にしては心のやさしいお方でございます」

「それはまあ、済まぬことを……」

と、老母は武蔵の恐縮する前へ、手頸の数珠へ顔がつくほど低い辞儀をして謝り入るのであった。

それから、心も打ち解けたように、この老母まで笑いこぼれながら、息子の光悦にこう話すのであった。

「わしは、今思うと、まことに済まんことじゃったが、この御牢人様を一目見た時、なにか、血臭いものが眼の前へ来たようで、体じゅうの毛あながぞくとひき緊められるように恐かったのじゃ。今、こうして見れば、なんの事もないお人じゃがの」

そう聞いて、武蔵こそ、この老母の何気ないことばに、はっと胸を衝かれた。われに返って、われという自身の相を、他人から見せつけられた気がしたのである。

三

――血臭いお人。

世辞のない光悦の老母は彼のことをさしてそういった。