Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

およそ刀をさす人間で、本阿弥家の名を知らない人間はない。けれど武蔵は、その光悦という人や、光悦の母の妙秀という人を、その先入主にある有名なものとは結びつけて考えられなかった。この母子が、そういう由緒のある家がらの当人であると聞いても、やはりこの広い枯野で偶然に出会った、ただの人としか思えないし、またそれがゆえに抱いていられる懐かしみや親しみを遽に、固くなって捨ててしまいたくなかった。

妙秀は、茶釜の湯の沸りを待ちながら、

「このお子は、幾歳じゃろ」

と、息子へいう。

息子の光悦は、

「さあ、二十五、六歳でもございましょうかな」

と、武蔵を見て答える。

武蔵は首を振って、

「いえ、二十二歳です」

すると妙秀は、さも驚いたように眼をあらため、

「まだそんなにお若いのか、二十二ではちょうど、わしの孫というてもよい」

それからまた、故郷はどこか、両親はあるのかないのか、剣は誰に習ったかなどと、妙秀はいろいろ訊ねてやまない。

やさしい老母から孫あつかいにされると、武蔵は、童心をよび起されて、ことばづかいまでおのずと子供らしくなってしまう。

常に、厳しい鍛錬の道に起き臥して、自分を刃鉄のように鍛え固めること以外には、生命を呼吸させたことのない武蔵だった。