Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

今も、妙秀のそれを、武蔵は、じっと見ていて、

(立派だ)

と、思った。

(隙がない)

彼の解釈は、やはり剣に拠る。

達人が剣を把って立った姿というものは、さながらこの世の人間とも思われない。その荘厳なものを今、茶をたてている七十の老母のすがたにも彼は見た。

(道――芸の神髄――何事も達すると同じものとみえる)

うっとりと彼は考えていた。

だが。

われに返ってみると、帛紗に乗せて膝のまえに置かれた茶碗を、武蔵は、どう持って、どう飲んでよいものかとためらった。茶事の席になど連なった経験もないのである。

そこらの土を子供が捏たように不器用に見える茶碗だった。しかし、その茶碗のいろの中にたたえられている濃い緑の泡つぶは、空よりも静かで深い色をしていた。

「…………」

光悦はと見ると、もう菓子を食べている。寒い夜に温かい物でも抱くように、両手で茶碗を持って、それもふた口か三口で飲んでしまう。

「――光悦どの」

武蔵はいってしまった。

「武骨者です、実は、茶などいただいたことがないので、飲むすべも、作法も知らないのですが」

すると、妙秀が、

「なんのい……」

と、孫でもたしなめるように、やさしく睨めた。