Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

「…………」

「お仏像を彫ることを習うよりも、その暇に、なぜ、剣の勉強をなさらないのです?」

童心の間いは時によると、肺腑を刺す。

――武蔵は、脚と腕の刀痕よりも、その言葉に、ずきんと胸の傷むような顔をした。まして、そう問うこのお小僧の年頃も十三、四。

下り松の根元で、闘いに入ろうとするや否、真っ先に斬り捨てたあの源次郎少年と――ちょうど年ばえも体の大きさも似て見える。

あの日。

幾人の傷負と、幾人の死者を作ったろうか。

武蔵は、今も、思い出すことができない。――どう斬ったか、どうあの死地を脱したのか、それもきれぎれにしか、記憶がない。

ただあれから後、眠りについても、ちらついてくるのは――下り松の下で、敵方の名目人である源次郎少年が、

(――怖いっ)

と、一声さけんだのと、松の皮といっしょに斬られて大地へころがった、あのいたいけな可憐な空骸だ。

(仮借はいらぬ、斬れ!)

という信念があったればこそ、武蔵は断じて真っ先に斬ったのであるが――斬ってそしてこうして生きている後の彼自身は、

(なぜ、斬ったか)

と、そぞろに悔い、

(あれまでにしないでも)

と、自分の苛烈な仕方が、自分でさえ憎まれてならない。