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Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

柏の葉で巻いてある握り飯であった。飯の中には黒い味噌が入っている。武蔵には美味かった。その美味さにつけても、どうかしてこれを半分でも婆が喰べてくれればよいがと思い――残りの少しをまた、柏の葉でつつんで懐中に残しておいた。

すると、婆のそばで、話し声が聞える。

岩の蔭から振向いてみると、通りかかった里の女房であろう、大原女のような山袴を穿き、髪は無造作に油けもなく束ねて肩へ垂げている。

「なあ、お婆さんよ、わしの家にも、この間から病人が泊っていての、もうだいぶ癒いが、この牝牛の乳をやったらなおよくなろうと思うのさ。ちょうど壺を持っているし、この牝牛の乳をすこし搾らせてくれまいかのう」

女の話が、高声にひびく。

婆は顔をあげて、

「ほ、牝牛の乳が、病によいとは聞いていたが、その牛から乳がとれるかの」

と、武蔵に向ける時とはちがう眼ざしを耀かして、そう訊ねていた。

山家の女はなお婆となにかいい交わしている間に、牝牛の腹の下にかがみ込んで、抱えていた酒壺の中へ白い液を懸命に搾り取っていた。

三

「有難うよ、おばあさん」

牝牛の腹の下から女は這い出した。搾った乳の瓶を大事に抱えて、礼をいうとすぐ去りかけた。