Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
それは、彼女に対する彼の、安心であった。下り松の死地を乗り越える前までは、武蔵は、女性というものに、堅い構えを持っていた。お通に対しても同様な危惧を抱いていた。
けれど、あの時の、お通の澄みきった態度、聡明な意思の処理を見てから、武蔵の彼女に対する気持は、ただの愛以上、深いものに改まっていた。
一般の女性を危惧するような眼で、お通をも危惧して来た自分の小心さが、彼女に対して済まなかったように今では思う。
そういう男の気持――安んじて女性にゆるしている気持――それは同じように、お通も、男性に対する信頼として、あれから後、胸のふかくに抱いていた。
武蔵はもう、何もかも、彼女にゆるしきっていた。今日会ったら、どんなことでも、彼女の願いなら容れてやろう。
剣を、歪めない限りのことは。修行の道から堕落しない限りのことは。
今までは、それが恐かった。女の黒髪には、剣も鈍り、道も喪ってしまうものと、それを惧れていたのである。しかし、お通のような覚悟のいい、聞きわけのよい、理性と情熱の処理を誤らない女性ならば、決して、男性の道に情痴な茨を横たえはしない。なんの足手纒いになるわけはない。