Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
二
「城太郎か」
「ええ。ほんとに、しようのない子」
「そうでもないぞ、おれの子供時分にくらべると、まだまだ」
「あなたは、べつ者でしたもの」
「反対に又八はおとなしかったなあ。……又八といえば、とうとう彼奴、来なかったが、あいつこそ、どうしたのか」
「でも、わたしは、ほっとしました。もし又八さんが来たら、隠れてしまおうと思っていました」
「隠れる必要はない。話してわからない人間はないはずだ」
「本位田家の母子は、すこしご気性がちがいます」
「お通さん……。おまえ、もいちど考えなおさないか」
「どういうふうに」
「思い直して、本位田家の人になる気はないかと訊くのさ」
お通はびくっと色を顔にうごかして、きっぱりいった。
「ありません!」
そして、蘭の花のように紅らんだ瞼から、みるまに涙がこぼれそうになった。
武蔵は、よしないことをいったと心のうちで悔いた。今さら、分りきったことなのだ。時が経って冷めたり迷ったりする女性と同視されたように思って、お通は心外なのであろう。指で顔をおおって、微かに肩を顫わせた。
(……貴方のものです!)
白い襟あしは、武蔵の目に、そう訴えているようだった。