Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

中でも大きい一条の虹は、滝よりも高く噴いて、空を貫いた。

「お通さアん!」

城太郎は鮎のように飛んだ。岩から岩を伝わって、激流を渡り越え、此方の絶壁へ移って来た。

(そうだ、なにも、お通さんが安心してるくらいなら、おいらの心配することはない。お師匠様の気持なら、心の奥まで、お通さんが知ってる筈だもの)

絶壁を攀じて、彼は、先刻の滝見小屋から少し離れた所へのぼって来た。牛の手綱が解けたとみえ、それをズルズル引摺りながら、牛はそこらの草を食べていた。

ふと滝見小屋の方を眺めると、そこの廂の下に、お通の後ろ帯だけがちらと見えた。――なにをしているのだろう? と疑いながら、跫音を忍ばせて城太郎が近づいて行ってみると、お通は、誰見る者もないと思ってか、小屋の端に脱ぎ捨ててあった、武蔵の着物と大小を両手で胸に抱きしめ、よよと、声を洩らして泣いていた。

「……?」

ここにもまた、心の解らない人間がいるぞといわないばかりに、城太郎は佇んだまま、唇を指へ当ててぼんやりしていた。お通が、胸へひしと抱えている物が物であるから、城太郎も変な顔をしてしまった。それに、独り泣いている様子も常とはちがい、凡ならぬことが童心にも感じられたのであろう。