Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

(――だが、今にあいつも、思い上がっているうちに、小ッぴどい目に遭うだろう。吉岡にだって人物はいる、十剣士もいれば、舎弟の伝七郎もいる……)

武蔵の名声が一敗地にまみれるような日を、彼は絶えず心のどこかで待っていた。そして、自分の上には、僥倖をさがしていた。

「……アア渇いた」

ひょろりと、火のそばから壁にすがって立ち上がった。ほかの客の顔はみな振向いて彼を見た。又八は、隅の大きな水瓶へ首を突っこむようにして、柄杓から水をのみ、その柄杓を抛りすてると、そのまま、門口の暖簾をわけて、ふらふらと外へよろめいて行く――

あきれ顔に、ぽかんとしていた居酒屋のおやじは、又八のすがたが、暖簾の外にかくれると、気がついたように、

「もしっ、だんな」

と、追って出て、

「――お勘定をまだいただいてございませんが」

ほかの客も、暖簾の隙からみな首を突き出した。又八は、あぶない腰つきで立ちどまりながら、

「なに? ……」

「旦那、うっかり、お忘れなすったんでございましょう」

「わすれ物はねえが」

「御酒の……へへへへ……御酒のお払いを、まだいただいてございませんが」

「アア勘定か」