Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
二
武蔵は、憮然として、寝床のうえに坐り直した。――なんというつよい勝敗への執着だろうか。
昨夕の間違いは、もうお互いの間違い事と、心に済ましているのかと思えば、それはそれとして、武蔵に負けたという点を、ここの母子は、今もって、飽くまで不覚な恥辱として、涙にくれるほど無念がっているのである。
「……怖ろしい負けず嫌い」
武蔵は呟いて、そっと次の部屋へかくれた。そして夜明けの薄い光の洩れているそのまた次の一室の内を、隙間からそっと覗いてみた。
見ると、そこは、この家の仏間であった。老母は仏壇を背にして坐り、息子はその前に泣き伏している。――あの逞ましい大男の権之助が、母の前には他愛もなく顔をよごして泣いている。
武蔵が、ふすまの陰から見ているとも知らず、老母はその時また、何が気に障ったのか、
「なんじゃと、……これ権之助、今、なんといやったか」
ふいに、声を励まして、息子の襟がみをつかんでいた。
二
年来の志望であった武道を捨てて、明日からは、生涯百姓で終るつもりで孝養するといった息子のことばが――気に添わないのみか、かえって、老母の心を怒らせたものの如く、