Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

六

「……?」

びっくりしたように皆、黙ってしまった。そして彼の姿を、いぶかしげに見まもった。

土間の真ン中に大きな自在鉤が懸っている。土足のまま囲めるように炉は土へ掘ってあり、鍋には、猪の肉と大根がふつふつ煮えていた。

それを肴に、樽や床几へ腰かけて、酒壺を灰へ突っこみながら、茶碗を廻していた野武士ていの客が三人。――老爺は後ろ向きのまま今、漬物か何か刻みながら、その客たちと、馬鹿ばなしでもしていたらしい。

「なんだ?」

老爺に代って、そういったのは、中でも眼のするどい、五分月代の男だった。

六

猪汁のにおいや、この家の暖かい火の気につつまれると、武蔵の飢渇は、もう一刻もしのべなくなった。

居合せた野武士ていの男が、何かいったが、それに答えもせず、ずっと通って、空いている床几の隅を占め、

「おやじ、湯漬でもよい、はやく飯を支度してくれい」

亭主は冷飯と猪汁を運んで来て、

「夜どおしで、峠をお越えなされますか」

「ウム、夜旅じゃ」

武蔵はもう箸を取っている。

猪汁の二杯目を取って、

「きょうの昼間、奈良井の大蔵という者が、一名の童を連れて、峠を越えて行かなかったであろうか」