Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

その噪ぎに、小次郎へわかれを述べて、此方へ顔を向けた親方の甚内は、

「おいおいお直、逃げたとは、誰がいったい逃げたのだ」

自分の責任でも問われたように、お直と呼ばれた年よりは、

「朱実という女でございますよ。……ほれ、親方様が、木曾路で見かけて、女郎にならぬかといって、お抱えになった、旅の娘っ子で」

「見えないのか――その朱実が」

「逃げたのじゃないかと、今、若い者が麓まで見つけに行きましたが」

「あの娘なら、何も証文を取って、身代金を貸したわけじゃなし、女郎になってもよいから、江戸まで連れて行ってくれろというし、容貌も踏める玉だから抱えようと約束したまでのこと。ここまでの旅籠代が少しばかり損は損だが、まあ仕方がない。そんな者は抛っておいて、出かけようぜ」

今夜八王子泊りとなれば、あしたは江戸に入ることができる。

少しは、夜にかかっても、其処まではと、親方の甚内は、急き立てて先に立つ。

すると、道の傍らから、

「皆さん、どうもすみません」

と、探しぬいていた朱実が姿をあらわして、もう歩き出している一行の中へ交じって、自分も共に尾いて歩きだした。

「どこへ行っていたのさ」