Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
若い者の天地だった。
「尋ねる者でもない旅なら、こんな所に、一日とて、居てくれるのではないが……」
ぶつぶついっているまに、婆はまた、足を止めた。ここもまた、堀を掘っているので、道を曲がらなければならなかった。
掘り出した土の山は、どんどんと、土車で運ばれてゆく。そうして、葭や蘆が埋ってゆくそばから、大工は家を組み、大工のはいっているうちに、もう白粉の女が、暖簾の陰で眉を刷いていたり、酒を売ったり、生薬の看板をかけたり、呉服反物を積みあげていたりしていた。
ここらは以前の千代田村と日比谷村のあいだを通っている奥州街道の田圃道が開けているので、もっと、江戸城の周囲に寄れば、太田道灌以後、天正の御入国以来のまとまった大名小路や屋敷町もあって、多少、城下としての落着きもあるのであったが、婆はまだ、そこへは足を踏んでいない。
そして、昨日今日、急拵えにできかかっている新開地を見て、江戸の全体を考えているので、ひどく落着かないのであった。
掘りかけている空堀の橋のたもとに、ふとみると、一軒のほったて小屋がある。四方は蓆張りで、削ぎ竹を抑えに打ち、入口にのれんを掛けて、そこから一本の小旗が出ている。