Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

五

まじまじと無遠慮に自分を見ている眼を、又八は、ぐっと睨めかえして、

「なんだっておれの面をそう見るのだ。おれの名を承って恐れ入ったか」

「イヤ、恐れ入った」

「帰れ!」

頤をすくって、又八が、刀の柄をセリ出していうと、

「アハハ、アハハハ……」

腹をかかえて小次郎は笑い出した。いつまでも、笑いの止まらない様子で、

「世間を歩くと、ずいぶん様々な人物にも出会うが、まだかつて、こんなに恐れ入った例はない。――なんと佐々木小次郎どの、あなたに訊いてみるが、しからば、拙者は何者であろうか」

「なに?」

「わしは一体、何者かと、あなたに訊いてみるのだが」

「知ったことか」

「いやいやそうでない、よくご存知の筈である。執こいようだが念のため、もういちど承りたい。あなたのご姓名は、何といいましたかな」

「わからぬか、おれは佐々木小次郎という者だ」

「すると、わしは?」

「人間だろう」

「いかにも、それに違いない。しかし、わしという人間の名は」

「こいつが、おれを弄る気か」

「なんの、大真面目。これ以上の真面目はない。――小次郎先生、わしは誰だ?」

「うるせえ、てめえの胸に訊くがいい」

「しからば、自分に問うて、おこがましいが、わしも名乗ろう」