Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

この仏は、生前泥鰌が、無二の好物であったとみえる。少年は、父が死ぬと、父が一番好きな物は何であったかを考え――もう秋も半ばというのに、懸命に、泥鰌をさがして、あの小川で洗っていたものにちがいない。

――とも知らずに、

(泥鰌を分けてくれぬか)

といった自分の心ない言葉が武蔵は恥ずかしく思い出された。同時にまた、父の遺骸を、山の墓地へ持って行くのに、一人の力では運ばれないから、死骸を両断して持って行こうという――この童子の剛胆な考え方に、舌を巻いて、しばらくその顔を見つめてしまった。

「いつ死んだのだ? ……おまえの父は」

「今朝」

「お墓は遠いのか」

「半里ばかし先の山」

「人を頼んで、寺へ持って行けばよいではないか」

「おかねがないもの」

「わしが、布施をしよう」

すると、童子は、かぶりを振っていった。

「お父さんは、人から物を恵まれるのは、嫌いだった。お寺も嫌いだった。――だから、いらない」

五

一言一句、この少年のことばには、奇骨がある。

父という仏も、察するに、凡の田夫野人ではなかろう。由縁ある者の末にちがいはない。

武蔵は彼のことばに任せ、山の墓所へ、仏を運ぶ力だけ貸した。