Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
それらを収める主流というものがないのだ。天気の日眺めると、それらしいものは幅の広い河原を作っているが、天地の大に対する包容力が足らないし、元々、あるがままに出来た河原なので、秩序もないし、統制もない。
もっとなくてならないのに無いものは、群小の水を集めて、一体に指してゆくべき方角を持たないのだ。主体自らが、その折々の気象や天候にうごかされて、或る時は、野にあふれ、或る時は、林を貫き、もっと甚だしい時は、人畜を冒して、菜田まで泥海にしてしまう。
(容易でないぞ)
と、武蔵は、踏査した日から思った。
それだけに、彼はまた、非常な熱と興味をこの事業に抱いた。
(これは政治と同じだ)
と思う。
水や土を相手に、ここへ肥沃な人煙をあげようとする治水開墾の事業も、人間をあいてに、人文の華を咲かせようとする政治経綸も、なんの変りもないことと考える。
(そうだ、これはおれの理想とする目的と、偶然にも合致する)
この頃からのことである。――武蔵は剣に、おぼろな理想を抱き始めた。人を斬る、人に勝つ、飽くまで強い、――といわれたところで何になろう。剣そのものが、単に、人より自分が強いということだけでは彼はさびしい。