Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
四
と、使いの任務を思い出して、狼狽した眼をこすりながら、藁と糠の中から飛び出して来た。
陽なたへ出ると、彼は、ぐらぐらと眼が眩った。ゆうべの門番は、小屋の中で、午の弁当を喰べていたが、
「子ども。今起きたのかい」
「おじさん、日ヶ窪へ行く道の絵図を書いておくれよ」
「寝坊して、慌てたな。お腹はどうだ?」
「ペコペコで、眼がまわりそうだよ」
「ははは。ここに一つ、弁当が残っているから喰べてゆくがいい」
――その間に、門番は、麻布村へ行くまでの道すじと、柳生家のある日ヶ窪の地形を、絵図に書いてくれた。
伊織は、それを持って、道を急ぎだした。使いの大事なことは、頭に沁みているが、ゆうべから帰らないで、武蔵が心配しているだろうということは、少しも考えていなかった。
門番の書いてくれた通り、夥しい市街を歩き、その町を貫いている街道を横ぎって、やがて江戸城の下まで行った。
この辺は、何処も彼処も、夥しい濠が掘られ、その埋土の上に侍屋敷だの、大名の豪壮な門ができていた。そして濠には、石や材木を積んだ船が、無数にはいっているし、遠くみえる城の石垣や曲輪には、朝顔を咲かせる助け竹のように、丸太足場が組まれてあった。