Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

六

「そして、お使いとは、どこへお使いに?」

訊くと、伊織は、訊いてくれるのを、待っていたように、

「柳生様」

と、言下だった。

そしてそれ一つだけは、生命がけで持っていたように、揉み苦茶になった手紙を、臍の辺りから取り出し、上書の文字を星に透かして、

「そうだ、柳生様の中にいる、木村助九郎様ってえ人へ、この手紙を持って行くんだよ」

と、さらにいい加えた。

ああ、伊織は何でその手紙を、折角、親切な人へ、ちょっとでも見せないのか。

使命を重んじているのか。

または、目に見えない運命の何ものかがこんな場合、物の陰にいて、わざとそうさせずにいるのか。

伊織が、彼女のすぐ前で、皺だらけにして握っている手紙は、お通にとって、七夕の星と星とよりも稀れに、ここ幾年、夢にのみ見て、会いも得ず、便りもなかった人の――天来の機縁に恵まれるものではないか。

それをまた。

――知らないということはぜひもない。お通もべつに、眼をとめて、見ようともせず、

「兵庫さま、この子は、お邸の木村様を尋ねて来たのだそうです」

と、あらぬ方へ、顔を向けてしまう。

「ではまるで、方角ちがいを彷徨っていたな。