Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
「ひとつ、節をつけて、美い声で誦んで聞かせてくれ」
「じょうだんいうな。小唄じゃあるめえし」
「なあにおめえ、遠い昔にゃあ、お経文をそのまま、歌謡にうたったものだあな。――和讃だってその一つだろうじゃねえか」
「この文句は、和讃の節じゃあやれねえよ」
「何の節でもいいから聞かせろッていうに。聞かせねえと、取っちめるぞ」
「やれやれ」
「――じゃあ」
と、そこで男は、余儀なく仰向けのまま、写経を顔の上にひらいて、
仏説父母恩重経――
かくの如くわれ聞けり
ある時、ほとけ
王舎城の耆闍崛山中に
菩薩、声聞の衆といましければ
比丘、比丘尼、憂婆塞、憂婆夷
一切諸天の人民
龍神鬼神など
法を聴かんとして来り集まり
一心に宝座を囲繞し
またたきもせで尊顔を
仰ぎ瞻たりき――
「なんのこッたい」
「比丘尼ってえな、近頃、鼠色におしろいを塗って、傾城町より安く遊ばせるという、あれとは違うのか」
「しっ、黙ってろい」
是の時、ほとけ
乃ち法を説いて宣わく
一切の善男子善女人よ
父に慈恩あり
母に悲恩あり
そのゆえは
人のこの世に生るるは
宿業を因とし
父母を縁とせり
「なんだ。おやじと、おふくろのことか。お釈迦なんぞも、知れ切った御託しか並べやしねえ」