Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
が尠なくなかった。
「ヤイ……」
と、そのうちに一人が、誦み人の男へいう。
「まだ、その先が、あるのか」
「あるよ」
「もちっと、聴かしてくれ」
「待てよ」
と誦み人の男は、起きあがって、鼻紙で洟をかんでから、こんどは坐って先を誦んだ。
――子、やや成長して
朋友と相交わるに至れば
父は子に衣を索め
母は子の髪を梳り
己が美好はみな子に捧げ尽し
自は故を着、弊れたるを纒う
――既に子、婦を索めて
他の女子を家に娶れば
父母をば転、疎遠にして
夫婦は特に親近にし
私房の中に語らい楽しむ
「ウーム、思い当るぞ」
と、誰かうなる。
……父母年高けて
気老い、力衰えぬれば
倚る所の者はただ子のみ
頼む所の者はただ婦のみ
しかるに朝より暮まで
未だ敢えて一たびも来り問わず
夜半衾冷ややかに
五体安んぜず、復談笑なく
孤客の旅寓に宿泊するが如し
――或は復、急に事ありて
疾く子を呼びて命ぜんとすれば
十たび喚びて、九たび違い
遂に来りて給仕せず
却って怒り罵りていわく
老い耄れて世に残るよりは
早く死なんに如かずと
父母聞きて怨念胸に塞がり
涕涙、瞼を衝き目くらみ
噫、汝幼少の時
吾れにあらざれば養われざりき
吾れに非ざれば育てられざりき