Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme

Aozora Bunko

「あ。お旦那なら、眠ってござらっしゃります」

「それ、ごらんな」

舌打ちして、

「祭だっていうのに、こんな薄ぼんやりしているのは、うちだけだよ、ほんとに」

お甲は、そういいながら、暗い土間を見まわした。

表口で、雇い男と老婆が、明日の赤飯を泥竈にかけて蒸していた。そこから赤い薪の火がゆらいで来る。

「もし、おまえさん」

お甲は、一つの床几の上に、長々と寝こんでいる姿を見かけて、側へ寄った。

「ちょっと、眼を醒ましておくれよ。――もしおまえさんたら」

軽く肩を持って、揺すぶると、

「なに」

むくりと、寝ていた男は、起き上がった。

お甲は、

「おや……?」

と、退いて、男の顔を見まもった。

それは、彼女の亭主の藤次ではなかった。丸っこい顔に、大きな眼をもった在郷の若者である。ふいに、見知らぬ女にゆり起されたので、きょろッと、その丸い眼でお甲を見つめた。

「ホ、ホ、ホ」

彼女は、自分のそそッかしさを笑いに紛らして、

「お客様でしたか。どうも、相すみませんでした」

在郷の若者は、床几の下にすべり落ちている菰を拾って、それを顔にかぶると、だまってまた、眠ってしまった。

木枕の前に、何か食べかけた盆と、茶碗がおいてある。