Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme
「……よし!」
それを今、彼は、描いてしまった。しかも六曲半双へ、一気に。
試合の後――ほっと息づくように胸をあげて、静かに、筆洗へ筆の先を沈めると、描きあげたわが画に一顧もせず、伝奏屋敷の控えの広間から、さっさと退出してしまった。
「――門」
武蔵は、そこの豪壮な門を跨いで、ふと振り顧った。
入るが栄達の門か。
出るが栄光の門かと。
人はなく、まだ濡れている屏風のみが残されてあった。
いちめんに武蔵野之図が描いてあった。大きな旭日だけを、わが丹心と誇示するように、それだけに朱が塗ってあって、後は墨一色の秋の野だった。
酒井忠勝は、その前に坐ったまま、黙然と腕を拱んでいることしばし、
「ああ、野に虎を逸した」
と、独り呻いた。
天音
一
武蔵は、何か思うところあったのか、その日、辰の口御門を去ると、牛込の北条家には戻らず、武蔵野の草庵へ帰ってしまった。
留守をしていた権之助は、
「オオ、お戻り」
と、すぐ駒の口輪を取りに外へ飛び出して来る。
いつになく糊目のついた式服すがたの武蔵。美々しい螺鈿の鞍など――さては今日のうち登城もすみ、首尾も上々に、就任の沙汰はきまったものと、権之助は早のみこみして、