Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme

Aozora Bunko

自然、その眼はすぐ、小次郎の方へ移ったが、彼には、迷惑そうな気色もなく、むしろ、

(望むところ)

と、いわんばかりな紅潮が面に見えた。

だがなお、さし出がましく、我がと名乗って、起つ者もないうちに、

「岡谷」

と、忠利が、名指した。

「はっ」

「いつぞや、槍が太刀に勝る論議の出た折に、誰よりも、槍の説を取って退かなかったのは、そちであったな」

「は」

「よい折だ、かかってみい」

岡谷五郎次は、お受けすると、次に、小次郎の方へ向い直って、

「不肖、お相手に立ちまするが、おさしつかえございませぬか」

と、訊ねた。

小次郎は、大きく、言葉を胸で肯くように、頷いた。

「お願いいたしましょう」

慇懃な礼儀のあいだであるが、何かしらさっと肌じまるような凄気がながれた。

幕の裡で、的場の砂を掃いていた者や、弓の整理をしていた人々も、それを聞いて、忠利のうしろへ皆、集まった。

朝夕、武芸を口にし、太刀や弓を箸の如く持ち馴れている者にでも、稽古以外のほんとの試合などに立つ体験は、一生を通じて、そう何度もあることではなかった。

仮に――

(戦場へ出て戦うのと、平常の場合、試合に立つのと、どっちが怖いか)