Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme
しかも、朗々と、藺のすだれの陰からは、伊織の読書の声がながれている。秋となっても、蝉の声はまだ旺だったが、到底、その伊織の声には敵わない。
「伊織」
「はいっ」
はいっ――と返辞した時は、伊織はもう彼の足もとに来てひざまずいていた。
近頃、厳しく慣らした躾である。
以前の童弟子、城太郎には、彼はこうしなかった。彼の振舞いたいように振舞わせ、それが、育つさかりの者には、よいことであり、人間を自然に伸ばすことだと考えていた。
武蔵自身がそう育てられて来たからである。――だが、年と共に、彼の考え方も変化して来た。
人間の本来の性質の中には、伸ばしてもいい自然もある。だが、伸ばしてはならない自然もある。
放っておくと、得て、伸ばしてはならない本質は伸び、伸ばしてもいい本質は伸びないものだった。
この草庵を建てるので、草や木を刈ってみても、伸びて欲しい植物は伸びず、醜草や邪魔な灌木は、刈っても刈っても、蟠って仕方がない。
応仁の乱この方、世の中の相は、文字どおり乱麻であった。信長がそれを刈り、秀吉が束ね、家康が地ならしと建築にかかりかけているが、まだ、まだ、危ないことは、附火木の火一ツで、天下を火となさんず気ぶりも蒸々と、西には満ちている。