Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
いずれにしても、お通はここから今では無断で出ることは許されない。文使いをやるにしても、宿の者の手を経なければ出来ない芸だし、結局、城太郎の訪れを待つよりほかに策はなかった。
「…………」
障子の蔭へ身を退いて、彼女はまた針の目を運び始めていた。その縫物もお杉の旅着の仕立て直しだった。
するとまた誰か外に人影が映して――
「オヤ? 違ったかしら」
聞き馴れない女の声がする。
往来から路地をはいって来て、ここの袋地内の畑や離屋に、勝手がちがったらしくこう呟いているのである。
何気なく、お通は障子の蔭から顔を出してみた。葱畑と葱畑の間にある道の梅の樹の下に、その女は佇んでいたが、お通の顔を見て、
「あの……」
間が悪そうに頭を下げ、
「……あの、こちらは、宿屋ではないんでしょうか。路地の入口に、はたごと書いた掛行燈が見えたので、はいって来たんですけれど」
と、引っ込みがつかないように、もじもじしていう。
お通は、それに答えるのも忘れて、女の顔から足の先までを見つめていた。その眸が異様に先へは受け取れたに違いない。袋路地と知らずに間違って入って来た女は、いよいよ、間が悪そうに、