Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

三

「どこの家でしょう」

囲りの屋根を見まわしたり、ふとまた側の梅の梢へ、

「まあ、よく咲いている」

と、テレた顔を上げて、見恍れるような素振りをしたりしていた。

(そうだ、五条大橋で!)

お通はすぐ思い出したが、また人違いではないかとも迷って、記憶へ念を押してみるのだった。――元日の朝であった。あの大橋の欄で、武蔵の胸に顔を押しあてて泣いていたきれいな娘。――先では知らなかったであろうが、お通には忘れ難い――なにか敵ででもあるように、あれ以来絶えず気にかかっていたその女性ではあるまいか。

三

台所の女が、帳場へ告げたとみえて、表から路地を廻って来た旅籠屋の手代が、

「お女中さま、お宿でございますか」

朱実は落ちつかない眼で、

「ええ、どこなの?」

「ついそこの入口でございますよ、ヘイ、路地の右側の角で」

「まあ、じゃあ往来に向っているんですね」

「往来でも、お静かでございますが」

「出入りに眼がつかないような家をと、捜していると、ちょうど路地の角に掛行燈が見えたから、この奥ならと思ってはいって来たんだけれど」と、お通のいる一棟をのぞいて、――

「ここは、お宅の離屋じゃないの」